駅のリミナルスペース|地下462段の土合駅から道のない秘境駅まで、実在する9か所

駅は、人が集まって、すぐに去っていく場所です。乗り降りする人がほとんどいない駅や、地下深くに隠れたホームには、「誰かを待つための場所なのに、誰もいない」という独特の空気があります。地下の駅から、道のない秘境駅まで、9か所を紹介します。

土合駅の下りホームから見上げた、まっすぐ続く長い階段
土合駅の下りホームから見上げた階段。改札まで462段が一直線に続く。 写真: Rory trains (CC BY-SA 4.0), 出典: Wikimedia Commons

誰もいない駅が、なぜ心に残るのか

駅のホームや待合室は、列車を待つ人のために作られています。ベンチも時刻表も案内放送も、本来は誰かがそこにいることが前提です。そこに誰もいないとき、駅は「どこかへ向かう途中」のまま止まった空間になります。

この記事で紹介する駅は、どれも今も列車が止まる現役の駅です。ただし止まる列車はとても少なく、道路が通じていない駅もあります。訪ねるときは、必ず帰りの列車の時刻を確かめてください。

地下深くのホーム:土合駅と筒石駅

群馬県のJR上越線の土合駅は、上りホームが地上にある一方で、下りホームは1967年に開通した新清水トンネルの中、駅舎から約70m下にあります。改札から連絡通路の24段と、まっすぐ続く462段の階段を下りて、ようやくホームに着きます。照明が等間隔に並ぶ階段は、下りで10分ほど、上りはその倍以上かかることもあります。

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新潟県の筒石駅(えちごトキめき鉄道)は、1969年に、全長約11kmの頸城トンネルの中に移された駅です。ホームは地上の駅舎から約40m下にあり、改札から下りホームまで290段の階段を歩きます。列車が通るとトンネルの中に強い風が吹き抜けるため、ホームと通路は重い引き戸で仕切られています。

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千葉県の東成田駅は、1978年に成田空港の開港とともに「成田空港駅」として開業し、1991年に名前を変えた地下の駅です。かつての特急ホームは使われなくなり、旧駅名の駅名標や古い広告が残っています。

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道のない秘境駅:小幌駅と坪尻駅

北海道のJR室蘭本線の小幌駅は、二つの長いトンネルに挟まれた80mほどのすき間にあります。三方を急な崖、残る一方を海に囲まれ、駅に通じる道路はありません。1943年に列車の行き違いのための信号場として設けられ、止まる普通列車は1日6本だけです。2015年に廃止が検討されましたが、翌年から豊浦町が管理して残しています。周辺はヒグマが出るので、一人での訪問は避けてください。

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徳島県のJR土讃線の坪尻駅は、阿讃山地の谷底にあり、駅まで通じる車道がありません。勾配が急なためスイッチバック式で、止まる列車はいったん引き込み線で向きを変えてからホームに入ります。古い木造の駅舎が残り、止まる普通列車は上下3本ずつ。阿波池田方面の最終は16時台と早いので注意が必要です。

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天竜川の秘境駅:田本駅と小和田駅

長野県のJR飯田線の田本駅は、天竜川の峡谷の断崖の途中にあります。ホームの背後には巨大なコンクリートの擁壁がそびえ、線路の下は谷です。駅舎はなく、小さな待合所があるだけで、細い山道を20分ほど登ると集落に出ます。普通列車でも通過するものがあるので、時刻表を確かめてから降りてください。

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静岡県の小和田駅(JR飯田線)は、静岡・愛知・長野の三県の境に近い天竜川沿いにあります。1956年に完成した佐久間ダムで川沿いの集落の一部が湖に沈み、のちに周りから人の暮らしが消えました。駅に通じる車道はなく、いちばん近い集落まで山道を1時間ほど歩きます。木造の駅舎と、住居や製茶工場の跡が残っています。

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昭和の姿のままの駅:国道駅と根府川駅

神奈川県のJR鶴見線の国道駅は、1930年に開業し、大きな改築がされていないとされる駅です。高架の下にはアーチの続く薄暗い通路がのびています。高架下には今も住まいがあるので、住民の方や戸口が写らないように気をつけてください。

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小田原市の根府川駅は、相模湾を見下ろす高台の無人駅です。1923年の関東大震災では、駅に入ろうとしていた列車が土石流に巻き込まれて駅舎やホームごと海へ落ち、100人を超える人が亡くなりました。今の木造駅舎は翌1924年に建て直されたものです。

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行くときの、現実的な注意点

秘境駅に止まる列車はとても少なく、乗り遅れると何時間も次の列車がありません。訪ねる前に行きと帰りの列車を決め、時刻表を確かめておいてください。道路のない駅では、ほかに帰る手段がありません。小幌駅、田本駅、小和田駅の周りはクマが出るので、鈴などを持ち、一人での訪問は避けてください。

どの駅も、今も列車が走る現役の駅です。線路に下りたり、ホームの端に立ったりしないでください。土合駅や筒石駅の階段にはエレベーターがなく、上るのにかなりの体力が要ります。待合室での寝泊まりや火の使用もやめましょう。

撮ったら、地図に残してください

毎日使っている駅にも、人のいない時間には別の顔があります。地下の通路や地下街については「地下街・地下通路のリミナルスペース」、ゲームの中の駅や通路については「『8番出口』は現実にあるのか」でも紹介しています。

LIMapは、そうした場所を写真と位置つきで残していく地図です。見つけた場所があれば、ぜひ登録してください。

よくある質問

土合駅の階段は何段ありますか?

下りホームから改札までは、462段の階段と連絡通路の24段を合わせて486段です。エレベーターやエスカレーターはなく、上りは20〜30分以上かかることもあります。

秘境駅に行くとき、いちばん気をつけることは?

帰りの列車です。止まる列車がとても少なく、道路が通じていない駅もあるので、乗り遅れると帰る手段がありません。行きと帰りの列車を決めてから出かけてください。

小幌駅には車で行けますか?

行けません。駅に通じる道路はなく、列車で行く駅です。周辺はヒグマが出るので、陸路で近づくのも避けてください。

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