沖縄のリミナルスペース——高架の下のビーチから最南端のアーケードまで、実在する7か所
南の島の沖縄にも、観光地の裏側に続く古いアーケードや、高架とコンクリートに囲まれたビーチ、博覧会の跡に残る展示館が、今も誰でも行ける場所としてあります。人の少ない朝や夜に訪れると、明るい南国のイメージとは違う、どこか途中で止まったような風景が見えてきます。LIMapに登録した7か所を紹介します。
沖縄のリミナルスペースは「アーケード」と「海辺の人工的な風景」に多い
沖縄で見つかるリミナルスペースには、二つの特徴があります。ひとつは、強い日差しや雨をさえぎるアーケードの商店街です。観光客でにぎわう通りのすぐ裏に、閉じたシャッターと古い看板が続く長い屋根の下の通りがあります。
もうひとつは、海辺に人の手で造られた風景です。高架の道路が目の前を横切る人工のビーチ、遠浅の海に土手を築いた一本道、博覧会の跡に造られた公園。この記事では、那覇・沖縄市・うるま市・名護市・本部町・石垣市で「今、誰でも行けること」を条件に選んだ場所を紹介します。
那覇とコザ:観光地の裏側に続くアーケード
那覇のサンライズなは商店街は、国際通りの裏手、市場本通りから開南の方へ延びるアーケード商店街です。1950年代から続き、1988年にアーケードが架けられました。観光客でにぎわう通りから一本外れるだけで、閉じたシャッターと古い看板、蛍光灯の下に小さな店が点々と続く、観光地の裏側に迷い込んだような通りになります。
沖縄市コザの一番街は、長さ約300mのアーケード商店街です。1970年代半ばに沖縄で初めてアーケードが架けられ、1960〜70年代には沖縄中部でいちばんの商業地でした。1990年代以降は閉じた店が目立つようになり、今は新しい店と閉じたままの店が交互に並びます。長い屋根の下の静けさが、にぎやかだった頃の残響のように感じられます。
高架の下のビーチと、海の上の一本道
那覇の波の上ビーチは、市内でただひとつの海水浴場です。1991年に造られた人工のビーチで、すぐ目の前の海の上を高架の道路が横切り、岩の上には波上宮が立っています。泳ぐ人のいない早朝や夜には、南の島の砂浜が高架とコンクリートに囲まれて、どこか作り物めいた風景に見えます。
うるま市の海中道路は、与勝半島と平安座島を結ぶ、遠浅の海に土手を築いた約5kmの道路で、1972年に開通しました。両側に空と浅い海だけが広がる一本道の途中に、広い駐車場と海の駅がぽつんと浮かびます。人の少ない平日の夕方には、どこにも着かない道を走り続けているような感覚になります。
風が抜ける市庁舎と、博覧会の跡の展示館
名護市庁舎は、1981年に完成した象設計集団(Team Zoo)設計の市庁舎です。全国から308案が集まった設計競技で選ばれ、日本建築学会賞を受けました。コンクリートブロックの格子と日よけの棚が段々に重なり、建物のあちこちに風の通る半屋外の空間があります。人のいない休日や夕方、段状のテラスと長いスロープに風だけが抜けていく様子は、役所とも集落ともつかない不思議な空間に見えます。
本部町の海洋博公園にある海洋文化館は、1975年の沖縄国際海洋博覧会で政府の展示館として建てられた建物です。展示の多くは博覧会のときに作られたもので、大きなカヌーや半世紀前の展示が静かに並ぶ館内は、終わったお祭りの続きの中にいるような感覚になります。
石垣島:日本でいちばん南のアーケード
石垣島の中心にあるユーグレナモールは、日本でいちばん南のアーケード商店街です。1988年と1989年に2本のアーケードが架けられ、そのあいだに公設市場がはさまっています。
昼は観光客でにぎわいますが、店が開く前の朝や閉まったあとには、南の島の強い日差しを屋根がさえぎった、薄暗く長い通路だけが残ります。日本の端にある、屋根の下の静かな通りです。
ユーグレナモール(石垣市)
行くときの、現実的な注意点
アーケード商店街は、そこで働き暮らす人たちの場所です。店や店の人、通る人を写さないように気をつけてください。名護市庁舎は今も使われている市役所で、中に入れるのは平日の開庁時間だけです。波の上ビーチでは、泳いでいる人を写さないようにしてください。
海中道路では、道路の上で車を止めたり、車道に出て撮影したりしないでください。撮るなら海の駅や中央の広場からにしましょう。沖縄は夏から秋にかけて台風が多く、ビーチや公園が閉鎖されることもあります。日差しも強いので、水分と日よけの準備をして出かけてください。
撮ったら、地図に残してください
沖縄には、まだ記録されていない古いアーケードや、海辺の人工的な風景がたくさんあります。観光地のすぐ裏に、誰も撮っていない景色が残っているかもしれません。
LIMapは、そうした場所を写真と位置つきで残していく地図です。見つけた場所があれば、ぜひ登録してください。
よくある質問
那覇で手軽にリミナルスペースを感じられる場所は?
国際通りの裏手にあるサンライズなは商店街がおすすめです。ゆいレールの牧志駅から歩いて約9分で、観光客の多い通りから一本外れるだけで、静かなアーケードの通りになります。店が開く前の朝がとくに人の少ない時間です。
無料で行ける場所はありますか?
サンライズなは商店街、コザ一番街、ユーグレナモールのアーケード、波の上ビーチ、海中道路は無料です。海洋博公園の入園も無料ですが、海洋文化館は大人190円です。
台風のときはどうなりますか?
台風が近づくと、波の上ビーチが閉鎖されたり、海洋博公園の施設が休みになったりします。夏から秋に行くときは、天気予報と各施設の公式情報を確認してください。
この記事が、あなたの知らない場所への入口になっていれば幸いです。
LIMapの運営を支援する(Ko-fi)→