関西でリミナルスペースを撮るなら——大阪・兵庫・奈良・滋賀の実在スポット
リミナルスペースというと東京の地下通路を思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど関西にも、人の気配が薄れた計画都市や、役目を終えた施設が静かに残っています。LIMapに登録されている場所から、実際に行けるところを選びました。
関西のリミナルスペースは「計画された街」と「役目を終えた場所」に多い
関西で見つかるリミナルスペースには、大きく二つの傾向があります。ひとつは、大規模に計画された街や商業施設。人工島や駅直結の複合施設のように、大勢の人を迎える前提で作られた空間は、人が少ない時間帯に独特の空白を見せます。
もうひとつは、鉄道や鉱山のように、かつての役目を終えた場所です。機能は失われても、構造物だけがその場に残り、見る人に時間の経過を感じさせます。この記事では、どちらの場所も「実際に行けること」を条件に選んでいます。
神戸:人工島の水路と、新幹線駅に直結した複合施設
六甲アイランドは、神戸の沖に造られた人工島です。島の中心を流れるリバーモールは、住吉川の水を引いて造られた人工の水路で、北のゾーンが1990年、南のゾーンが1993年に完成しました。頭上を六甲ライナーの高架が走り、整然とした広場や彫刻が続きます。人が少ない時間帯には、手入れの行き届いた空間だけが残るような静けさがあります。
新神戸駅に直結する複合施設「新神戸オリエンタルシティ」も、関西らしいリミナルスペースのひとつです。ホテル・商業施設・劇場からなる大きな施設で、商業ゾーンは2019年に「コトノハコ神戸」として名称を変え、現在も営業しています。駅の目の前にありながら、時間帯によっては広い通路にほとんど人がいないこともあります。
大阪:世界初のカプセルホテルと、デパートの屋上遊園地
梅田の「カプセル・イン大阪」は、建築家の黒川紀章が設計し、1979年に開業した世界初のカプセルホテルです。同じ形の寝台が整然と並ぶ通路は、今も現役の宿泊施設として使われています。見学ではなく、泊まって体験できるリミナルスペースです。
高槻市の松坂屋高槻店の屋上には、1979年から続く「屋上遊園スカイランド」があります。かつて各地の百貨店にあった屋上遊園地は、今では全国でも数えるほどしか残っていません。昭和の遊具がビルの屋上に並ぶ光景は、懐かしさと違和感が同時に訪れる場所です。
兵庫の海と山:鉄橋の跡と、選鉱場の跡
日本海側の香美町にある余部鉄橋「空の駅」は、1912年に完成した旧余部鉄橋の橋脚の一部を残して造られた展望施設です。鉄橋は2010年にコンクリート橋へ架け替えられましたが、餘部駅側の橋脚が保存され、地上約41メートルの高さから海を見渡せるようになりました。2017年からはエレベーターで上がることもできます。途中で途切れた線路の先に、海と空だけが広がります。
朝来市の神子畑選鉱場跡は、1919年に建てられた大規模な選鉱場の跡です。1987年に操業を止め、老朽化した建物は2004年に取り壊されました。現在は、山の斜面に階段状のコンクリートの基礎だけが残っています。建物が無いのに建物の形がわかる、不思議な光景です。
奈良・滋賀:白い岩山の地下壕と、かつての「明るい廃墟」
奈良県香芝市の屯鶴峯は、白い凝灰岩がむき出しになった奇岩の山です。その地下には、太平洋戦争の末期に旧日本陸軍が掘った総延長約2キロの地下壕が残り、いくつかの坑口を外から見ることができます。白い岩肌と暗い坑口の対比が、強い非日常感を生みます。
滋賀県守山市のピエリ守山は、琵琶湖のほとりの大型商業施設です。2008年に開業したあと店舗の撤退が続き、ほとんどの店が閉まった館内の様子から「明るい廃墟」と呼ばれました。2014年12月にリニューアルし、現在は多くの店舗が営業しています。今は廃墟ではありませんが、広い吹き抜けと長い通路に、当時の記憶を重ねて歩くことができます。
行くときの、現実的な注意点
紹介した場所の多くは、営業中の施設や公共の空間です。お店やほかの利用者の迷惑にならないよう、施設ごとの撮影のルールを確認し、人の顔がはっきり写らないように気をつけてください。
屯鶴峯の地下壕は、坑口を外から見るだけにしてください。内部は崩落や足元の危険があり、一部は研究施設としても使われています。
LIMapには、立ち入りが禁止されている廃墟も記録として登録されています。この記事では、外から見られる場所と営業中の場所だけを選びました。私有地や立入禁止の場所には入らないでください。
撮ったら、地図に残してください
関西には、まだ記録されていない場所がたくさんあります。通勤で通る地下街や、休日のニュータウンが、誰かにとっての探していた景色かもしれません。
LIMapは、そうした場所を写真と位置つきで残していく地図です。見つけた場所があれば、ぜひ登録してください。
よくある質問
関西で気軽にリミナルスペースを撮れる場所はありますか?
営業中の施設や公共の空間がおすすめです。神戸・六甲アイランドのリバーモール、新神戸駅に直結した新神戸オリエンタルシティ、香美町の余部鉄橋「空の駅」などは、立ち入りの心配をせずに訪れることができます。
大阪市内で行ける場所はどこですか?
梅田にある「カプセル・イン大阪」は、1979年に開業した世界初のカプセルホテルで、現在も宿泊できます。少し足を延ばせば、高槻市の松坂屋高槻店の屋上遊園「スカイランド」もあります。
廃墟の写真を撮りに行ってもいいですか?
立ち入りが禁止されている場所や私有地には入らないでください。LIMapには記録として廃墟も登録されていますが、訪れる場合は外から見られる範囲にとどめてください。
この記事が、あなたの知らない場所への入口になっていれば幸いです。
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