神奈川・千葉・埼玉のリミナルスペース|地下神殿から昭和の無人駅まで、実在する8か所
東京のすぐ外側には、開業当時の姿をほとんど変えずに使われている駅や、地下に隠れた巨大な空間、役目を終えて静まり返った建物が残っています。LIMapに登録した中から、神奈川・千葉・埼玉の8か所を紹介します。廃墟は、どれも外から眺めるだけの場所です。
南関東のリミナルスペースは「古い駅」「巨大な地下」「外から眺める廃墟」
神奈川・千葉・埼玉には、毎日の通勤や通学に使われながら、昭和の初めの姿をとどめる駅がいくつもあります。人の少ない時間に降りると、時間の流れだけが別の速さで進んでいるように感じられます。
もうひとつは、ふだんは見えない巨大な地下の空間と、営業を終えて静まり返った建物です。廃墟は私有地や立入禁止の場所がほとんどなので、この記事では外から眺められる場所に限って紹介します。
神奈川の古い駅:高架下の国道駅と、海を見下ろす根府川駅
JR鶴見線の国道駅は、1930年に鶴見臨港鉄道の駅として開業しました。改札口の位置を直した以外は大きな改築がされていないとされ、高架の下にはアーチの続く薄暗い通路がのびています。駅舎の外壁には、1945年の機銃掃射の跡とされる弾痕も残っています。高架下には今も住まいや営業中の店があるので、住民の方や戸口が写らないように気をつけてください。
Instagramで投稿を見る ↗
小田原市の根府川駅は、相模湾を見下ろす高台にある無人駅です。1923年の関東大震災では、駅に入ろうとしていた列車が土石流に巻き込まれ、駅舎やホームごと海へ落ちて、100人を超える人が亡くなりました。今の木造駅舎は翌1924年に建て直されたもので、100年を超えて使われています。駅には、1948年に駅員が建てた震災の殉難碑があります。
Instagramで投稿を見る ↗
相模湖のほとりの、10円から遊べるゲームコーナー
相模湖のボート乗り場の一角に、遊覧船を運航する老舗のボート店が営むゲームコーナーがあります。1970年代製のモグラたたきなど、年代物の機械が10円から遊べ、レトロゲームの聖地として広告の撮影にも使われてきました。
Xで投稿を見る ↗
湖畔の静かな空気の中で、古い機械の電子音だけが響く空間は、遊園地とも駄菓子屋とも違う、どこかに置き去りにされたような懐かしさがあります。一部の機械はすでに稼働を終えています。
千葉:役目が変わった空港駅、東成田駅
東成田駅は、1978年に成田空港の開港とともに「成田空港駅」として開業しました。1991年に空港ターミナルの直下に新しい駅ができると、東成田駅と名前を変えます。今も京成東成田線の終点として、芝山鉄道との直通列車が発着していますが、かつての特急ホームは使われなくなり、旧駅名の駅名標や古い広告が残されています。
Xで投稿を見る ↗
改札の外からは、第2ターミナルへ続く長さ約500mの地下通路がのびています(通れるのは5時20分から23時15分まで)。閉ざされたコンコースには1980年に設けられた陶板のレリーフも残り、現役の駅でありながら、時間が止まったような静けさが漂います。
埼玉:地下につくられた「神殿」
春日部市の首都圏外郭放水路は、大雨のときに周辺の川からあふれそうな水を地下に取り込み、江戸川へ流すための国の施設です。地下約22mにある調圧水槽は、長さ177m、幅78m、高さ18mの空間に、重さ約500トンの柱が59本並び、「地下神殿」と呼ばれています。
Xで投稿を見る ↗
中に入れるのは見学会だけで、完全予約制です(当日の予約はできません)。地下へは階段を約100段上り下りし、夏でも地下は20℃ほどです。施設が稼働したあとは、しばらく調圧水槽に入れないことがあります。コースや料金は公式サイトで確認してください。
外から眺める廃墟:岩窟ホテル、曾呂の分教場、総武はな遊園
吉見町の岩窟ホテルは、高橋峰吉が1904年からノミなどの手道具で岩山を掘り進め、1925年に亡くなるまで21年間作業を続けた洋風の岩窟です。宿泊施設として完成することはなく、1982年と1987年の台風で崩れて閉鎖されました。今はフェンスに囲まれていて、外から見えるのはごく一部だけです。
Xで投稿を見る ↗
鴨川市の曾呂尋常小学校分教場は、1874年に西小学校として開校し、1909年に分教場となって、1967年に廃校になった木造校舎です。城西大学を創立した水田三喜男が通った学校で、敷地に記念碑と案内板があります。校舎は傷みが進んでいて、中に入るのは危険です。
Xで投稿を見る ↗
旭市の総武はな遊園は、JR倉橋駅の前にある、閉園した花の遊園地の跡です。1990年以降に開業し、2000年代の後半には営業を終えたとみられます。2022年の時点では、入園ゲートやスワンボートの浮かんでいた池の跡が残っていました。門は閉ざされ、すぐ隣には民家があります。
Xで投稿を見る ↗
行くときの、現実的な注意点
駅は、地元の人が毎日使う場所です。撮影するときは列車の運行や乗り降りの妨げにならないようにし、人の顔が写らないように気をつけてください。国道駅の高架下のように、住まいがすぐそばにある場所では特に配慮が必要です。相模湖のゲームコーナーは9時から17時まで(11月から2月は16時30分まで)です。
この記事で紹介した廃墟は、どれも私有地や立入禁止の場所です。柵や門の内側には入らず、道から外観を眺めるだけにしてください。首都圏外郭放水路の中に入れるのは、予約した見学会のときだけです。
撮ったら、地図に残してください
南関東には、まだ記録されていない古い駅や地下の通路がたくさんあります。東京の場所は「東京のリミナルスペース」、茨城・栃木・群馬は「北関東のリミナルスペース」でも紹介しています。
LIMapは、そうした場所を写真と位置つきで残していく地図です。見つけた場所があれば、ぜひ登録してください。
よくある質問
首都圏外郭放水路(地下神殿)は予約なしで入れますか?
入れません。中に入れるのは見学会だけで、完全予約制です。当日の予約はできないので、公式サイトで日程とコースを確認してから申し込んでください。
記事で紹介している廃墟の中には入れますか?
入れません。岩窟ホテル、曾呂尋常小学校分教場、総武はな遊園は、どれも立入禁止か私有地です。道から外観を眺めるだけにしてください。
お金をかけずに行ける場所はありますか?
国道駅や根府川駅、東成田駅は、電車で行けばそのまま駅の空気を感じられます。東成田駅から第2ターミナルへの地下通路も、決まった時間内なら歩いて通れます。
この記事が、あなたの知らない場所への入口になっていれば幸いです。
LIMapの運営を支援する(Ko-fi)→