遊園地のリミナルスペース|百貨店の屋上遊園地から閉園した遊園地まで、実在する9か所

遊園地は、たくさんの人が楽しむことを前提につくられた場所です。だからこそ、人がいないときの遊園地には、ほかの場所にはない懐かしさと不安があります。今も動き続ける百貨店の屋上遊園地から、閉園したまま残る遊園地の跡まで、LIMapに登録された9か所を紹介します。

曇り空の下、人のいない百貨店の屋上遊園地。カバーをかけた遊具や動物の像が並ぶ
佐世保玉屋の屋上遊園地(2019年撮影)。玉屋の本館は2026年1月に閉店した。 写真: Dyamasan (CC BY-SA 4.0), 出典: Wikimedia Commons

なぜ、人のいない遊園地は不思議に見えるのか

遊具も音楽も、本来は大勢の歓声とセットでできています。乗る人のいない乗り物がゆっくり回っていたり、色あせた看板だけが残っていたりすると、「ここにいるはずの人たち」の不在がかえって強く感じられます。リミナルスペースやドリームコアの画像に、遊園地やプールがよく登場するのはそのためです。

この記事では、今も営業している場所と、閉園して立入禁止になっている場所の両方を紹介します。営業中の場所はふつうに楽しめますが、閉園した遊園地の跡は私有地なので、外から眺めるだけにしてください。

百貨店の屋上に残る遊園地

かつて全国の百貨店の屋上には、小さな遊園地がありました。郊外の大きなテーマパークに客を奪われ、百貨店そのものの閉店も続いて、今ではわずかしか残っていません。2024年には長崎の浜屋百貨店の屋上遊園地が閉じ、九州から百貨店の屋上遊園地が姿を消しました。一方で、松坂屋名古屋店の屋上遊園は2025年に改装して再開しています。

東京・蒲田の東急プラザ蒲田の屋上には、1968年から続く「屋上かまたえん」があります。都内で唯一の屋上観覧車「幸せの観覧車」は3代目で、2014年に一度は撤去される予定でしたが、存続を望む声を受けて改装後に再び設置されました。観覧車は1周300円です。

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大阪の松坂屋高槻店の屋上には、1979年の開店と同時にできた「屋上遊園スカイランド」があり、関西で唯一残る百貨店の屋上遊園地とされます。ゴーカートやレールの上を走る汽車など、乗り物の多くは100円で、部品が手に入りにくくなった古い遊具を修理しながら動かし続けています。

屋上遊園スカイランド(松坂屋高槻店) をLIMapで見る →

ビルの上を回る観覧車と、湖畔のゲームコーナー

松山のいよてつ高島屋の屋上には、地上85m、直径45mの大観覧車「くるりん」があります。2001年に百貨店の増床と同時に運転を始めた、ビルと一体になった造りの観覧車で、約15分かけて1周します。買い物客の行き交う売り場の上で、ゴンドラがゆっくり回り続けています。

いよてつ高島屋 大観覧車くるりん をLIMapで見る →

神奈川の相模湖のほとりには、相模ダムができたころから続く老舗のボート店が営むゲームコーナーがあります。1970年代製のモグラたたきなど、年代物の機械が10円から遊べ、電子音だけが響く空間は、遊園地とも駄菓子屋とも違う懐かしさがあります。

振興ボート 昭和レトロゲームコーナー(相模湖公園) をLIMapで見る →

人のいない時間の、屋内リゾート

福島のスパリゾートハワイアンズでは、1990年にできた「スプリングパーク」のうち、水着で入る南欧風の屋内スパ「スプリングタウン」が話題になりました。公式Xが、人のいない時間に撮った写真を「ドリームコア」「リミナルスペースと言われている」と紹介したためです。営業中はほかの利用者がいるので、撮影は施設のルールに従い、ほかのお客さんが写らないよう気をつけてください。

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ドイツのトロピカル・アイランズは、飛行船をつくるために1999年から2000年に建てられた、長さ360m、幅210m、高さ107mの格納庫を、2004年に屋内リゾートに変えた施設です。室内は一年中26℃前後に保たれ、巨大な屋根の下に熱帯の浜辺とプールが広がります。外は北ドイツの平原なのに、中は南国という落差が、現実感を少しずつ揺らします。

トロピカル・アイランズ(旧エアリウム飛行船格納庫) をLIMapで見る →

閉園した遊園地の跡

宮城県大崎市の化女沼のほとりには、1979年に「化女沼保養ランド」として開業し、2001年に閉園した遊園地の跡があります。今も草むらの中に観覧車が立ち、映画やドラマのロケ地に使われることもあります。敷地は私有地で立入禁止なので、湖畔の市道から眺めてください。

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千葉県旭市のJR倉橋駅前には、花をテーマにした小さな遊園地「アグリミュージアム総武はな遊園」の跡があります。春から秋だけ開き、水路を巡るボートで花を見て回る造りでしたが、2000年代半ばに閉じたとみられます。門は閉ざされ、すぐ隣に民家もあるので、駅前の道から静かに眺めるだけにしてください。

総武はな遊園 をLIMapで見る →
草むらの中に立つ、化女沼レジャーランド跡の観覧車
化女沼レジャーランド跡の観覧車(2015年撮影)。2001年の閉園後も立ち続けている。 写真: ToshiJapon (CC BY-SA 4.0), 出典: Wikimedia Commons

廃墟から公園に戻った、ベトナムの遊園地

ベトナム・フエ郊外の湖畔にあるホー・トゥイ・ティエンは、2004年に未完成のまま開業したウォーターパークです。来園者が集まらず閉鎖と再開を繰り返したのち長く放置され、湖の中央に建つ巨大な竜の形の建物が草に覆われた姿が、「廃墟の遊園地」として世界中で知られるようになりました。

フエ市は2024年に改修を始め、2025年からは湖を一周する遊歩道のある無料の公園として公開しています。竜の建物は今も残り、口の部分まで階段で上がれます。「廃墟の遊園地」として広まった場所が、ふたたび人の集まる場所に戻った例です。

ホー・トゥイ・ティエン(旧ウォーターパーク) をLIMapで見る →

行くときの、現実的な注意点

営業中の屋上遊園地や観覧車は、天気によって休止することがあります。屋上かまたえんは10時から18時まで(冬は17時まで)、松坂屋高槻店の屋上遊園は雨の日は休みです。家族連れの多い場所なので、子どもの顔が写らないように気をつけてください。

閉園した遊園地の跡は、どこも私有地で立入禁止です。中に入るのは不法侵入にあたり、建物の崩落など危険もあります。この記事で紹介した眺める場所から、外観を見るだけにしてください。

撮ったら、地図に残してください

屋上遊園地は、百貨店の閉店とともに静かに消えていきます。今あるうちに記録しておくことにも意味があります。ほかの遊園地やプールの空気については、「リミナルスペースとドリームコアの違い」や「プールルームとは」も読んでみてください。

LIMapは、そうした場所を写真と位置つきで残していく地図です。見つけた場所があれば、ぜひ登録してください。

よくある質問

今も営業している屋上遊園地はどこにありますか?

この記事では、東京の屋上かまたえん(東急プラザ蒲田)と、大阪の屋上遊園スカイランド(松坂屋高槻店)を紹介しています。ほかに松坂屋名古屋店の屋上遊園なども営業しています。営業時間は天気で変わるので、行く前に確かめてください。

閉園した遊園地の跡には入れますか?

入れません。化女沼レジャーランド跡も総武はな遊園も私有地で立入禁止です。外から眺めるだけにしてください。

ハワイアンズで、人のいない写真は撮れますか?

話題になった無人の写真は、施設の公式アカウントが人のいない時間に撮ったものです。営業中はほかの利用者がいるので、施設のルールに従い、ほかのお客さんが写らないように撮影してください。

気になるリミナルスペースを見つけたら

写真と場所をLIMapに記録して、同じ感覚を持つ人たちと共有しましょう。

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この記事が、あなたの知らない場所への入口になっていれば幸いです。
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