ウィアードコアとは?意味と特徴、ドリームコア・リミナルスペースとの違い
画質の粗い写真に、赤い文字で「ここはどこ?」。昔のパソコンで作ったような、ずれた文字と枠。ウィアードコア(weirdcore)は、懐かしいのにどこか間違っている、そんな感覚をわざと作り出すネット発の美学です。意味と特徴、ドリームコアやリミナルスペースとの違いを整理します。
ウィアードコアとは:懐かしいのに、どこか間違っている
ウィアードコアは、インターネットで生まれた「美学」、つまり見た目のスタイルのひとつです。わざと素人っぽく、画質の粗い画像を作ったり加工したりして、混乱や方向感覚を失う感じ、不安、居場所のなさ、そして懐かしさを呼び起こします。この懐かしさは、自分が実際に体験した時代へのものとは限らず、知らないはずの過去に覚える郷愁に近いものだと説明されます。
見た目の手がかりになるのは、昔のネットで共有されていた画像の雰囲気です。素人っぽい編集、原始的なデジタル画像、画質の低い写真、画像を圧縮したときのノイズ。デザイン誌は、ずれた配置や古い画面の部品、意味の通らない文などを挙げ、デザインの作法をわざと崩す「アンチデザイン」だと紹介しています。英語では oddcore や strangecore と呼ばれることもあります。
よく使われるモチーフ
ファンがまとめた解説では、次のようなモチーフがよく挙げられます。「are you lost?(迷子なの?)」「nothing is real(何も本物じゃない)」のような赤い文字、黒い四角で隠された部分、こちらを見る目、顔のない人影、人のいない遊び場や教室、ショッピングモール。文字は Arial のようなありふれた書体や、ペイントソフトで書いたような手書きです。
大事なのは、怖がらせること自体が目的ではない点です。不安を感じる人もいれば、どこか懐かしく落ち着くと感じる人もいて、反応は人によって分かれます。ホラーというより、見た人の感覚を少しずらすための表現だと考えると近いでしょう。
いつ、どこで生まれたのか
正確な起源ははっきりしていません。ファンのまとめでは、2010年代に画像共有サービスの Tumblr などで似た画像が出回り始めたとされ、最も早い例を2010年代半ばとする説明が多く見られます。2012年ごろから2019年ごろまで、起源の時期には諸説があります。
広く知られるようになったのは2020年代の初めです。TikTok や YouTube、Instagram、Reddit などで、若い世代を中心に一気に広まりました。2024年には、イタリアの研究者ヴァレンティーナ・タンニが、ヴェイパーウェイヴやバックルームズとともにウィアードコアを論じた本『Exit Reality』を出しています。
ドリームコアとの違い
ウィアードコアとよく並べられるのが、ドリームコア(dreamcore)です。アメリカのファッション誌 Nylon は、ドリームコアをウィアードコアの「姉妹」と呼んでいます。どちらも、懐かしさと見慣れなさを同時に感じさせる点は共通しています。
違いとしてよく挙げられるのは、感情の向きです。ドリームコアは、夢の中のような安心感や親しみ、明るい色合いに寄りがちで、ウィアードコアは、混乱や居場所のなさ、暗い不穏さに寄りがちだと整理されます。ただ、どちらが先に生まれたのか、どちらがどちらの派生なのかは、解説によって説明が逆になっていて、はっきりした線引きはありません。
リミナルスペースとの関係
ウィアードコアの画像には、人のいない廊下や教室、駐車場など、リミナルスペースがよく使われます。ただし、リミナルスペースが必ず必要というわけではなく、文字やノイズ、目のモチーフだけで成り立つ作品もあります。リミナルスペースが「現実の場所」から生まれる感覚だとすれば、ウィアードコアはそれを画像の加工で増幅したもの、と考えるとわかりやすいかもしれません。
この感覚は映画にも届いています。2022年のホラー映画『スキナマリンク』の監督カイル・エドワード・ボールは、制作の過程でネット掲示板 Reddit のリミナルスペースとウィアードコアの投稿を見ていたと話しています。
名前の取り違えと、見るときの注意
同じ「Weirdcore」という名前で活動する映像作家がいます。音楽家エイフェックス・ツインのミュージックビデオやライブ映像を手がけている人物で、ネットの美学としてのウィアードコアとは別のものです。また、日本語で「ウィードコア」と書くと、除草剤の商品名が検索に混ざります。
ウィアードコアの画像の中には、現実感が薄れるような感覚を覚えさせるものや、つらい体験を扱う近いジャンル(トラウマコア)と重なるものもあります。見ていて気分が悪くなったり、不安が続いたりするときは、無理に見ないようにしてください。
現実の場所で、ウィアードコアの感覚に近づく
画面の中の表現ですが、近い感覚を味わえる場所は現実にもあります。岐阜県の養老天命反転地は、美術家の荒川修作とマドリン・ギンズが構想し、1995年に開園した体験型の作品です。傾いた地面と曲がりくねった通路を歩くうちに、平衡感覚が少しずつずれていきます。
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広島の1991年開業の商業施設「コムズ安佐パーク」の平成初期の館内や、三重の英虞湾を望む斜面に地中海の漁村を再現した「志摩地中海村」も、懐かしさと現実離れした感じが同居する場所です。LIMapでは、こうした場所を写真と位置つきで記録しています。
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よくある質問
ウィアードコアとは何ですか?
わざと素人っぽく、画質の粗い画像を作ったり加工したりして、混乱や不安、そして体験したことのない過去への懐かしさを呼び起こす、インターネット発の美学(見た目のスタイル)です。2020年代の初めに広く知られるようになりました。
ドリームコアとの違いは?
どちらも懐かしさと見慣れなさを感じさせますが、ドリームコアは夢のような安心感や明るさに、ウィアードコアは混乱や不穏さに寄りがちだと整理されます。どちらが先かなどの説明は解説によって異なり、はっきりした線引きはありません。
ウィアードコアは怖いものですか?
怖がらせること自体が目的ではありません。不安を感じる人もいれば、懐かしさや落ち着きを感じる人もいます。ただ、気分が悪くなるような画像もあるので、つらいときは見ないようにしてください。
この記事が、あなたの知らない場所への入口になっていれば幸いです。
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